日米の典型的な防蟻処理を比較します。日本の木造住宅の防腐防蟻処理は、本ウェッブサイトで繰り返し説明してるので米国の典型的な例を説明します。住宅建設場所は土盛りをし、殺虫剤液を大量に散布します(写真1)。乾燥してから地面を固め防湿シートで被覆します(写真2)。最後にコンクリートを流して厚さ15~20㎝のスラブを形成します(写真3)。住宅はスラブ上に建て、スラブと住宅周囲の部材を厚さ5㎜、幅10㎝程のステンレス板で結合します。この一連のプロセスを写真1~3に示しました。
1986年のクロルデン禁止後、米国では外来種のイエシロアリ対策を中心に木材保存処理と遅延性殺虫剤によるベイト法が主流になりつつあります。
では、将来の防腐防蟻処理はどうなるでしょうか。私は、木材を腐朽菌、食材性甲虫、米乾シロアリから守るためのDOT処理と地下シロアリから守るための基礎外周ベイト工法とを組み合わせた複合法が中心になると考えています。地下シロアリはベイト法を潜り抜けて床下に侵入する場合がありますが、このような事故を想定して、ベイト剤を含んだ木片を床下に散布することも有効なはずです。こうすることで、木材のDOT処理濃度を半分以下に下げることも可能になります。