長寿命住宅を新築する方法

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1-1. 長寿命木造住宅化リフォーム

日本の住宅は何故短命なのか  Ⅰ- 戦後住宅の歴史 木造住宅の大敵は、シロアリと腐れです。シロアリが住宅を食害する場合、水が必要です。日本には、ヤマトシロアリとイエシロアリが住んでいますが、ヤマトシロアリは水を運ぶのが下手です。...
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雨漏り住宅腐朽写真

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耐久性住宅への道 I-耐久性住宅を建設する

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日本の住宅は何故短命なのか Ⅲ-外壁内の木材劣化

木造住宅を劣化する最大要因は?と尋ねますと、シロアリという答えが返ってきます。しかしながら正解は腐朽です。腐朽被害の金額は蟻害の2倍です。蟻害は羽アリが飛び出すので気づきますが、腐朽は点検して初めてわかります。腐朽、蟻害とも最大の原因は雨漏りです。雨漏りの85%は壁から15%は屋根からです。木材が腐るには、腐朽菌、酸素、栄養分(木材)と水が必要です。腐朽菌の胞子は空気中に漂っています。木材の含水率が30%近くなると、腐朽が始まります。リフォーム業者によりますと、築15年の木造住宅の壁内部では、ほとんどで木材の腐朽が始まっているそうです。 外壁からの雨漏りは、庇(ひさし)を長くし、こまめに塗装をすることで緩和されます。ニュージーランド(NZ)や欧米では2000年頃、住宅の腐れが社会問題となりました。写真1のような庇のない住宅が「地中海ルック」の名称でもてはやされたのも一因です。写真の住宅では雨が降るたびに壁が濡れること、ベランダと住宅本体の接合部に雨水が侵入しやすい点が問題です。
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日本の住宅は何故短命なのか Ⅱ-短命の理由

 2007年、自民党は200年住宅を提唱しました。日本の木造住宅の平均寿命は30年で、米国55年、英国77年に比較して短すぎる。短寿命住宅の日本では、住宅市場で売買されるのは、ほとんどが新築住宅です。住宅寿命の延伸は、中古住宅市場の活性化にもつながります。  住宅が200年持てば、50年ごとの建て替えに比較して、国民の負担は3分の2に軽減されます。住宅廃棄物も3割に軽減されます。脱炭素社会に大きく貢献します。 技術立国日本で、木造住宅が長持ちしないのはなぜか? 理由ははっきりしています。木材保存剤として農薬を使うからです。欧米では、農薬(殺虫剤+殺菌剤)は、土壌処理剤としてだけ認められています。では、農薬を木造住宅の保存剤として吹き付けることが,何故短命住宅につながるのでしょうか。  建築基準法施行令四十九条 2 は、「構造耐力上主要な部分である柱、筋交いおよび土台のうち、地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じてシロアリその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない」と規定しています。これらの措置は、もちろん木造住宅を使用する期間を通して必要です。  今日、日本の木材住宅の90%以上は、切削加工(プレカット)した木材を建設現場に運んで組立てます。組立てが終わると、地面から1メートル以内の主要構造材に防腐防蟻剤を吹き付けます。 住宅が200年持てば、50年ごとの建て替えに比較して、国民の負担は3分の2に軽減されます。住宅廃棄物も3割に軽減されます。脱炭素社会に大きく貢献します。 技術立国日本で、木造住宅が長持ちしないのはなぜか? 理由ははっきりしています。木材保存剤として農薬を使うからです。欧米では、農薬(殺虫剤+殺菌剤)は、土壌処理剤としてだけ認められています。では、農薬を木造住宅の保存剤として吹き付けることが,何故短命住宅につながるのでしょうか。 建築基準法施行令四十九条 2 は、「構造耐力上主要な部分である柱、筋交いおよび土台のうち、地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じてシロアリその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない」と規定しています。これらの措置は、もちろん木造住宅を使用する期間を通して必要です。 図2. 新築現場今日、日本の木材のほとんどは、切削加工(プレカット)した木材を建設現場に運び組立てます。組立てが終わると、地面から1メートル以内の主要構造材に防腐防蟻剤を吹き付けます。防腐防蟻剤の90%以上が農薬系と推定されます。薬剤を吹き付けた部分が明示されるよう、薬剤にはオレンジ色などの顔料や染料が添加してあります(図2)。 農薬は農作物を病害虫から守るため使用します。農薬が長期間分解しないと私たちの食物に混入し、いわゆる残留農薬問題が起こります。このため、農薬は早く分解するように設計されます。日本シロアリ対策協会は、木材保存剤としての農薬の効果に5年以上の保証を付けないように指導しています。皆さんが、新築住宅に5年ほど居住するとシロアリ業者が訪問し「築5年のシロアリ防除処理に参りま 図3. 床下光景した」とあいさつします。業者はすぐ床下に入り、目に見える木材に防腐防蟻剤を吹き付ける。作業はこれでおしまいです。 皆様にはもうお分かりと思いますが、建築基準法を順守 するには、図3に見える木材だけではなく、図2のオレン ジ色の木材も防腐防蟻処理する必要があります。このため には、完成した住宅の壁を全部はがし内部を防腐防蟻する ことになります。経済的に不可能なのです。第2に、農薬、 特に合成殺虫剤はかなり有毒です。人の住んでいる住宅内 で散布するわけにいきません。 矛盾の原因は明らかです。農薬を住宅の防腐防蟻剤として 直接木材に吹き付けてはならないのです。 農薬処理した木造住宅では、築5年以降, 壁内部の重要な構造材が腐朽菌やシロアリに対して無防備になります。食われ放題、腐り放題です。こんな木造住宅だから30年しか持たないのです。小学生でも理解できる論理です。なすべきことは、住宅関係者が一体となってこの矛盾したシステムを改めていくことです。  米国では、農薬系の防腐防蟻剤は土壌処理にのみ使用され、木材に直接吹き付けることは禁止されています。木材の保存処理はホウ酸系か銅系のACQが主に使用されています。ニュージーランドでは、1960年頃からラジアータパインの2×4材は、八ホウ酸二ナトリウム(DOT)処理して使用することを義務付けています。日本でも、I工務店は30年前から一階の構造材や通し柱をACQ処理しています。おそらく100年程度の耐久性は十分あるものと思われます。   本稿内容の問い合わせ先:Eメール
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日本の住宅は何故短命なのか Ⅰ- 戦後住宅の歴史

木造住宅の大敵は、シロアリと腐れです。シロアリが住宅を食害する場合、水が必要です。日本には、ヤマトシロアリとイエシロアリが住んでいますが、ヤマトシロアリは水を運ぶのが下手です。その被害は、盛土をする玄関や風呂場から数メートルに限定されます。イエシロアリは屋根組まで食い荒らすことがあります。  木材を腐らす腐朽菌は、適当な温度で食料(木材)、酸素、水があればいつでも活躍できます。腐朽も、蟻害も水の存在が前提です。ですから、乾燥した木材は、腐れやシロアリに強いことになります。江戸時代に建てられた家でも、乾燥状態がよければ、現在も使えるわけです。  昔の日本の住宅は、床下を風が吹きまくり、部屋の中でも隙間風が吹いて、東京でも家の中で氷が張ることもありました。寒いことを除けば、腐朽や蟻害を防いで案外長持ちしたものです。  事態を一変させたのは、1950年の建築基準法です。地震や台風に強い住宅を目標に、木造住宅の土台(断面12×12㎝の角材)は、図1のコンクリート製布基礎にボルトで固定することが義務化されました。この結果、床下は独立した空間となり、露地からの湿気が充満し、腐朽・蟻害の被害を受けるケースが激増しました。シロアリ駆除会社が雨後の筍のように生まれました。 床下湿気問題は、通風孔、防湿コンクリート、防湿フィルム、殺虫剤(クロルデン)の散布などの新技術の導入で1980年代には解決しましたが、結果として、構造材に農薬系防腐・防蟻剤を直接散布するという弊害が既成事実として定着しました。 その後、阪神淡路大震災を契機にベタ基礎が布基礎に代わり、外壁に断熱材を充填し気密性を高めた省エネルギー住宅、さらには壁構造を重視した耐震性住宅などが奨励され今日に至っています。
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